高校留学
高2の我が子の同級生がこのコロナ禍の中、なんとか留学先に飛び立ちました。ちょうど私自身も同じ時期に飛び立ちました。
それをとても懐かしく思い起こしながら。
世界はコロナ一色の中、留学を断念された子もいるでしょう。大変な中でも1年1年と、子どもたちの成長はとまりませんから、今の時代の子どもたちは本当によく頑張っていると思います。私はちょうど団塊Jr世代で出生率、同年代と、とても多い世代でしたが、親は団塊世代。彼らもまた戦争経験者ではないし、経済成長期の真っ只中。親世代、私世代とも、今の10代の子たちのような世界全体の負のオーラに包まれたパンデミックは経験していません。
それゆえ余計に、今、子ども世代真っ只中の子どもたちに、思いを馳せてしまいます。
さて、高校留学の話に戻りますが、初めての経験で、ホームステイも日本の家族とはもちろん違い、文化、言語、全て違いますから、一旦自分の15歳までの常識を横に置き、新たな常識を受け入れることから始まります。それが結構カンタンに出来るのが高校生なのではと感じます。色んなことを知り過ぎた年齢だと「どうして?」が出てきますが、高校生だと「そういうもん。」と割り切れるのではと。それがなんとなく、幼児からの英語教育と似ています。幼い頃から英語を学んでいると「なんで?」という疑問がわきません。そこまでの知識がないからです。高校留学もそこが一番大きいと思います。
私の高校留学が決まったのは高1生の秋。京都国際会館に一人で出向いて試験を受けたことを今でも覚えています。そこで初めて関西人と出会い、関西弁を話され、15歳の私には衝撃的でした。テレビの人!?
春休みには静岡県三島市での1週間のオリエンテーション。スマホもない時代に一人で出向き、頼りになるのは日本語のみ。なので、いまだにスマホは頼らず(単に地図が読めない)人にグイグイ道を聞きます。おばさんになったからではなく、昔からです。昔からおばさんだったと言われればぐうの音も出ませんが。
そこのオリエンテーション合宿で、当時の大人達に、「なぜ、高校生から留学なんだ!!なぜ高校卒業してからではない?自分たちで答えを出せ!」的な班活動があったのを覚えていますが、その意図も今なら分かります。
今、我が子がふと「留学すれば良かったなあ」とカンタンにポロっと言いますが、留学は生半可な気持ちではできません。すれば良かったとカンタンに言い、すれば英語がすぐ習得出来るなどとカンタンに言い。日本で学習出来ずして、外国で出来ると思うな!と私はつい思ってしまいます。
実際に私の時代でも、同期留学生のうち、3分の1が3か月ほどでホームシックで帰国したと聞いた時は、喉から手が出るほどその権利を得たかったです。私も渡米して3週間くらいはベッドで声を殺して泣いていました。自分で決めたとは言え、今までに経験したことのない辛さと寂しさに耐えれず。耐えれたのは意地のみです。今更、みんなが見送ってくれたあの教室に戻れない。結果的には可愛げのない性格が留学成功の手助けになりました。
和英辞書を早々に取り上げられたので(当時は英語は英語で理解しないといけない!とホームステイ受け入れサイドも彼らのルールがあったようです)、全く日本語に解せずの生活を約1年。日本人にも会わず、アジア人すら少なく。帰国直前には日本語を聞いても日本語だ!と理解するのに時間がかかったことを鮮明に覚えています。帰国便初の日本語もまた関西弁でした!最初は中国語と思っていたので、機内でsorryと言いながら隣を通り過ぎ。しかしなにやら聞き取れるので、おや?と耳を澄ますと1年ぶりに耳にした日本語が関西弁でした!1年くらい聞かなくても身に沁みついた母語は忘れないことを実感した瞬間でした。
高校留学、大学留学、それ以外でも色々な方法で英語学習があります。今ではオンライン英会話レッスンも豊富です。
どんな方法でも、自分で選んだ道が正しいと思います。正解かどうかより、自分が納得すればどのような英語学習でもいいと思います。ただ、語学学習は奥が深く、結局終わりがないと思っています。大人になっても読書量で母語である日本語の学びが止まらないように、言語は進化もしますし興味深く、飽きることがありません。